■【ロンドン、ヒースロー空港で日本国高齢者軍団の大合唱】入国審査での笑える出来事

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長年の会社勤めを卒業し、今は気ままなリタイア生活をしている６０代半ばの男性です。

■成田空港からロンドンのヒースロー空港に到着したのは朝でした

現役時代には海外出張が多く、特にイギリスには数回訪れたことがありましたが、プライベイトでの旅行はその時が初めてでした。それはイギリスの旅行会社が募集した、ロンドン集合・ローマ解散というヨーロッパ・バスツアーに夫婦で参加した時の事です。

成田空港からロンドン行きの日本航空便に乗り、ヒースロー空港に到着したのは朝でした。ロンドン自体は何度も行ったことがありましたので、ツアーバスの出発地としての単なる集合地であり、特に観光の予定はありませんでしたが、イミグレーションカードには「観光目的」と書いておきました。

夏休みの時期でもあったことから入国審査場近くはとても混みあっていて、とても長い行列が出来ていました。そして日本航空便の到着の為、日本人も多く、中には日本を代表するかのような高齢者軍団もいました。

総勢２０名程のその軍団には日本人女性の添乗員さんが付いていましたので、どこかからの団体旅行ご一行様だったのでしょう。その添乗員が団体客を整列させ、預かっていたらしいパスポートを各自に配り終えると、入国審査の説明に入りました。

大きい声で、そう、老人たちの耳にもよく聞こえるように大きい声で「皆さーん！」と始まったのです。「これから入国審査を受けます。そこではパスポートを見せ、簡単な質問に答えなければなりません」「英語で聞かれるんだよなァ・・・」と爺様たちがボソボソと

、「そうです、英語でこう聞かれます。お仕事で来たのですか？それとも観光ですか？」と、そして「皆様は観光旅行ですので英語でこう答えてください」添乗員の言葉に老人たちは一斉に耳を澄ましました。何故か私も思わず耳を澄ましていました。

「英語で観光はサイトシーイングです」老人たちは小さな声で「さ・い・と？？　さ・い・と・し？？・・・」添乗員は慣れたものだした。「皆さーん、簡単な英語ですけど、言い難かったらこう言って下さい！」老人たちが注目しました。

そして私も注目しました。すると添乗員はこう言ったのです。「斉藤さんちの真一さん、そう斉藤さんちの真ちゃん、さ・い・と・う・しん・・・さァ、皆さん声を合わせて練習しましょう！」ヒースロー空港の入国審査場前で日本国高齢者軍団の大合唱が始まったのです。

「サイトウシン、サイトウシン、サイトウシン・・・」そして一人、また一人、入国審査をスムーズに通過して行きました。いよいよ私の番が来ました。そこで私も胸を張って「さいとうしん！」と言い、ヨーロッパ・バスツアーへの斉藤さんちの真ちゃんに出かけたのです。